カンファレンスレポート「QoL評価に“心の豊かさ”を――ICECAPの挑戦」
2025年5月12日にマインドフルネス&ストレス研究センターカンファレンスをオンラインで開催しました。
精神科臨床において、患者の生活の質(Quality of Life: QoL)をどう評価するかは重要な課題です。
従来のGenericなQoL尺度では、身体的機能やネガティブな精神状態に重きを置いた構成となっており、ウェルビーイングやポジティブな心理的側面の評価には限界がありました。これに対してICECAP-Aは、「愛着」「楽しみ」「達成感」「自律性」など、個人の主観的な幸福や生きがいに焦点を当てた新しいQoL評価ツールです。うつ病、不安症、慢性疾患を抱える患者の「日常の充実感」や「自己決定感」といった側面も把握でき、精神科領域でも有用性が期待されています。こうした背景を踏まえて、当日はセンター長の佐渡充洋が、日本語版ICECAP-Aのスコア換算式(Tariff)を作成・検証した研究成果を報告しました。また、イギリスとの国際比較データを通して、「幸福感」に対する文化的価値観の違いについても参加者と議論を深めました。
論文はこちらからダウンロードいただけます。
ICECAP-A日本語版の使用には、Bristol大学への申請・登録が必要です。
https://www.bristol.ac.uk/population-health-sciences/projects/icecap/icecap-a/translations-/