論文掲載のお知らせ『Scientific Reports』30 Sep 2024
「ストレスの高い労働者を対象としたIL-6で測定したストレス度とApple watchで測定した睡眠の質の関係」がScientific Reportsに掲載されました(筆頭著者:是木明宏)。
本研究では、ストレスの高い労働者を対象にIL-6と睡眠の質を評価しました。本研究の特筆すべき点は、客観的な指標に基づいて評価を行った点です。通常、ストレス度や睡眠の質は質問紙を基に評価されますが、本研究では唾液中のIL-6測定によりストレス度を評価し、また、より自然に近い睡眠環境での評価を目的として、ポリソムノグラフィーではなくApple Watchを用いた睡眠評価を行いました。
その結果、IL-6が高いことと睡眠の質が低下していることが明らかになりました。本研究は横断研究であるため因果関係を証明することはできませんが、双方向の作用がある可能性が考えられます。つまり、ストレスによりIL-6が高くなり脳内炎症を引き起こすことで睡眠メカニズムが障害され、睡眠の質が悪化するという方向性と、睡眠の質が低下しているためストレスを感じやすく、ストレスに反応しやすい状態となり、結果としてIL-6が上昇するという方向性の両面が想定されます。これらの双方向の関係性が悪循環を形成している可能性が示唆されます。
そのため、ストレスの高い労働者において、IL-6を低下させる方法や睡眠の質を改善するためのアプローチが、この悪循環を解消する鍵となり得ると考えられます。
論文は以下からご覧いただけます。
Koreki A, Sado M, Mitsukura Y, Tachimori H, Kubota A, Kanamori Y, Uchibori M, Usune S, Ninomiya A, Shirahama R, Fujimoto A, Inabe K, Miyata H, Mimura M. The association between salivary IL-6 and poor sleep quality assessed using Apple watches in stressed workers in Japan. Sci Rep. 2024 Sep 30;14(1):22620. doi: 10.1038/s41598-024-70834-4. PMID: 39349506; PMCID: PMC11442746.
ぜひご一読ください。