掲載のお知らせ『最新精神医学』vol.28 N0.3 May.2023

 

『最新精神医学』2023年5月号(世論時報社)特集ー精神療法の現在と今後の展望ーに当センターの佐渡充洋が寄稿いたしました。

タイトル:「マインドフルネス療法の現在地と今後の展望」

 

「はじめに」より引用

 

カバットジンによって、マインドフルネスストレス低減法(Mindfulness Based Stress Reduction:MBSR)が作られ、医療に導入されたのは1970年代のことであった。その後、シーガル、ウィリアムス、ティーズデールによってMBSRと認知行動療法が統合されたマインドフルネス認知療法(Mindfulness Based Cognitive Therapy:MBCT)が開発され、再発性うつ病の再発予防効果があることが実証されたのが2000年である。マインドフルネス療法が(MBSRやMBCTのようにマインドフルネスの概念を取り入れた精神療法を、ここではマインドフルネス療法と呼ぶ)、医療の領域で認知され始めたのは実質的にこのとき以降であるから、マインドフルネス療法が世に知られるようになり、20年が経過したに過ぎない。

日本について言えば、マインドフルネス療法が知られるようになってきたのは2010年頃からと記憶しているが、そう考えるとマインドフルネス療法の日本における歴史はまだ10年程度に過ぎない。それにも関わらず、昨今のマインドフルネス療法の認知度の広がりには目を見張るものがある。こうしてみるとマインドフルネス療法の現在地は、非常な高みにあるように思える。確かにこの20年でマインドフルネス療法のエビデンスは指数関数的に増加した。そうした中に我が国から発せられたデータも含まれるようになってきている。一方で、急速に人口に膾炙してきたが故の課題も存在する。

そこで本稿では、最初にマインドフルネス療法の中で最もpopularなものの1つであるMBCTの概要に触れ、次にエビデンスと診察上の適応について述べる。こうした現状を踏まえた上で、マインドフルネス療法の課題を明らかにし、今後に向けての展望を議論する。なお、マインドフルネス療法以外にもマインドフルネスの概念を取り入れた介入は様々あり、その射程はビジネス領域など医療や保健分野にとどまらないが、ここでは議論の拡散を防ぐため、医療や保健領域への適応に焦点を絞り議論を進める。

 

最新精神医学 28(3) ; 189-194, 2023

key words: Mindfulness Based Intervention, Mindfulness. Based Cognitive Therapy, Mindfulness Based Stress Reduction, Training Program for the therapists

 

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