認知症ケアDementia care

経済産業省の検証事業で、「学習療法」の介護費用節減効果を実証しました

2016年9月12日 (月)


 

当センターの佐渡充洋、船木桂、二宮朗のグループは、経済産業省の平成27年度健康寿命延伸産業創出推進事業(ヘルスケアビジネス創出支援等)で、慶應義塾大学大学院政策メディア研究科の伊藤健先生と、公文教育研究会株式会社様と共同で、簡単な計算や文章の音読を継続的に取り組む「学習療法」の介護度維持効果、および、介護費用の節減効果の検証に取り組みました(最初の5ヶ月間は経済産業省の検証事業費、その後の7ヶ月間は公文教育研究会株式会社からの受託研究費で検証を実施しました)。
この検証以外にも、本検証事業では、伊藤健先生が中心となって、健常高齢者向けの認知症予防プログラム「脳の健康教室」の効果検証も実施しました。
ここでは、CSRのメンバーが中心的に関わった、前者の結果をご報告いたします。



   

方法の概要

この検証では、施設に入所されている認知症の方57名を対象に、1日30分、週5日学習療法に取り組んでいただくグループ(30名)と、学習療法は実施しないグループとの2グループに分けて、1年間の追跡調査を行いました。

 

結果の概要

・要介護度の維持効果

その結果、1年後、学習療法実施の群は介護度がほとんど変わらなかったのに対し(自立度が維持されていた)、学習療法を実施しなかった対照群は介護度が悪化すること(自立度が低下すること)、その差は要介護度「1」近い差であることが明らかになりました。
 


 

・介護度維持による介護費用の節減効果は1年間で1人平均20万円

このように学習療法が要介護度の悪化を防ぐという結果をもとに、それがどの程度介護保険費用の節減につながるのか、統計的な手法を用いて500回シミュレーションを行いました。その結果、介護保険費用が節減される可能性は約91%となること、1人あたり1年間で平均20万円近い節減効果が期待できることが明らかになりました。この節減効果は、積極的な介入を行うことにより、認知症の方ご本人の自立度が維持された結果によるものであり、ご本人、ご家族、社会によっても好ましいものであることが明らかとなりました。
 



   

本検証も含めた検証全体の概要については以下をご参照ください。
kumon.ne.jp/press/8059/