CSRを構成する3つの部門

1産業メンタルヘルス運営部門

企業と慶應義塾との間の業務、研究委託契約締結から、研究資金の獲得、さらに包括的メンタルヘルス対策業務の実施に至までの実務を行います。この運営部門は、2009年4月1日より慶應義塾大学医学部精神神経科において開始されたKEAP(Keio Employee Assistance Program:従業員支援プログラム)事業を端緒とするものです。この事業では、企業との受託研究事業を通じて、企業内うつ病などの精神障害の予防から職場復帰支援にいたるまでの包括的なメンタルヘルス対策を行います。既に、都内従業員約一万人規模の企業2社との間で、慶應義塾との間の締結された業務委託研究契約に基づき、精神科医と臨床心理士がチームを組み、契約企業従業員に対して職場復帰支援を中心としたメンタルヘルス対策業務を行っています。

2KEAP開発・研究部門

KEAPの有効性に関する科学的検証および疫学的研究を行い、その結果に基づいてより効果的な予防・職場復帰支援プログラムの開発を進めます。加えて、さまざまな規模や業種の企業に対応可能な汎用性の高い新たなメンタルヘルス改善プログラムの研究開発に取り組みます。このため、センターには、ストレスとうつ病に関する研究室と職場復帰支援のための就業前訓練のプログラム(Return to Health Program:RHP)に使用する部屋があります。うつ病が治ったとされる時点と充分な正規就労ができる時点にはギャップがあります。RHPは、このギャップを埋めるための訓練プログラムです。
精神保健研究では、健常者やうつ病例の長期縦断的大量データを解析できる機会が得られる可能性があり、メンタルヘルスに関する新たな知見が期待できます。このためには、医学部の他の教室のみならず、慶應義塾大学の他学部との連携が必須と考えています。さらに将来は産業精神保健領域のみならず、学校精神保健領域(あるいは学ぶ場の精神保健)や医療活動における精神保健領域(あるいは医療の場の精神保健)におけるメンタルヘルス改善プログラムの開発にも参画してゆくことも考えております。

3教育・育成・研修部門

KEAPをはじめとして、様々な産業精神保健領域での実践を行えるスタッフの教育および育成を行います。本邦では、メンタルヘルス不調による長期休業者の増加や精神障害に対する労災補償事例の増加などの解決すべき社会的課題が存在しており、これらは精神健康保険上の大きな問題であると共に、企業にとっては重大な経済的損失にもなってきています。これらの問題の解決のためには、実行力のある精神保健に精通した多くの医師や臨床心理士が必要です。本センターでは、これらの問題の解決に積極的に寄与できるスタッフの養成に努めたいと思います。